小さなお客様
2021年7月27日
ある入居者様のご家族の方が「これを母に渡してください。母の90歳の誕生日に行った島根で見つけて、とても気に入っていたのでプレゼントしたものなんです」
そう言って小さな包みを置いて行かれました。
それを手にした入居者様が箱を開けると・・・
中にはとてもかわいい姉様人形が入っていました。
「松江姉様(まつえあねさま)」です。
江戸時代に松江藩の御殿女中が作り始めたもので、江戸から伝わった姉様人形の一つと言われているそうです。
昭和10年頃までは日常の遊び用玩具であったようです。
その顔はおちょぼ口で目が細く、頬をほんのり赤く染め、表情豊かに作り上げられています。
明治時代に生きた文学者、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)もこれをこよなく愛好し、「瓜実顔に切れ長な目もとがほんのりとうるんで、羞らうようにうつむいて…」と書き記しています。
入居者様は、人形を手にとても懐かしく当時に想いを馳せておられました。